最近、NHKBS1で放映されている「駅ピアノ」「空港ピアノ」「街角ピアノ」に魅了されています。
世界各地の駅や空港、街角に置かれているピアノを弾く人々の演奏や演奏中の表情が魅力的なのが一番なのですが、加えて、通り過ぎていく人々、立ち止まって聞き入る人、拍手を送ったり握手を求めてきたりする人、はては一緒に演奏したり一緒に歌う人までいて、その交流の様子を見ているだけで、胸が温かくなり幸せな気分になります。
その国や街の歴史や街の様子なども紹介されているのも魅力の1つです。
誰でも自由に触ることができるピアノが、世界のあちこちに置かれていることも初めて知りました。日本では唯一JR西神戸駅の駅ピアノが紹介されていました。
鮮やかな朱色のピアノもあれば、列車や色とりどりの小鳥や花が描かれた可愛らしいピアノ、所々剥げた長い歴史を感じさせるピアノもありますし、広々としたロビーにデンと置かれたグランドピアノもあれば、隅っこや階段の下に置かれたアップライトピアノもあります。立派な革張りの椅子もあれば、ひもで補強してあるけど座るとガタガタの椅子もあります。
それぞれにお国柄やその国の経済状態、そして生きて行く上で音楽がとても大切なものだと考えている人々の思いが伝わってきます。
「音楽は世界の共通言語だよ!」「誰とでもすぐにコミュニケーションできるんだ!」「ピアノを弾いていると何もかも忘れて幸せな気持ちになれる!」「音楽のない人生なんて考えられない!」・・・・・
自由に弾けるようになっていますが、ちゃんと管理されていて、定期的に調律師が来て調律している様子も見せてくれます。
駅も空港も街角も、いろんな人がいろんな目的で行き交う場所なので、老若男女さまざまな人々が、好きな曲を演奏して様々な言葉を残して去って行きます。
演奏が楽しめるだけでなく、演奏中にちょっとしたプロフィールが字幕で流れたり、演奏後に、自分にとって、世界にとってピアノや音楽がいかに大切な存在かを語る、その人のナマの言葉を聞くも楽しいのです。
- 「弾くと落ち着く」と言って、演奏した後笑顔で海外出張に出発していくビジネスマン
- 観光を終えて「楽しかった!この街の人たちは温かい、大好きな街」という2人づれ
- 「ここにきて弾くのが楽しみ」という失業して求職活動中だという人
- ミュージシャンになって世界ツアーを夢見ている高校生
- 「大好きなこの曲を弾けるようになりたくて独習して、駅に来るたびにこの曲を弾いているんだ」という人
- 見事な演奏に思わず立ち止まった人々からの拍手を浴びて「脳梗塞を起こして1か月前は指先が麻痺して動かなかったんだよ」「皆に喜んでもらえて私はしあわせだ!」笑顔の元プロミュージシャン
- 仕事帰りには、いつも1曲弾いて帰るという薬剤師
- ピアノ演奏の後に、いつも持ち歩いている(!)というバイオリンを取り出して、弾きながら歌う、6人も子どもがいるというお母さん
- 「ピアノを弾くため毎日来てるんだ」「いつかピアノを買いたい」という若者
- 1人が弾くピアノに合わせて歌う男女数名のグループ
- 男の子が弾いている所に通りがかって「一緒に弾こう!君はそのまま弾いていてくれたらいいよ!」と、即興で見事な連弾技を見せてくれたプロのミュージシャン
- 情感豊かに体を揺らしながら演奏するロンドンに住むフィリッピン出身の女性
- まっすぐ座って微動だにせずに演奏する、家族旅行中だという中国の中学生
- 演奏後に、「素晴らしかった!」と握手を求め、「食べてくれ!」とホットドッグを渡す中年の男性とちょっと照れくさそうなうれしそうな顔をする失業中の男性
- ピアノの前に座るなり「いっしょにやろうよ!」「カモン!!」「カモン!!」と周りに声をかけ、寄ってきたダウン症の女の子が叩く音に合わせてノリの良い曲を弾きながら、なおも「カモン!」と呼びかけ、ついには20名以上の人たちを巻き込んで大合唱にして、歓声と拍手を浴びたプロのミュージシャンの幸せいっぱいの顔!
- ピアノを演奏しながら讃美歌を歌い、たくさんの拍手を浴びて「みんなが喜んでくれてうれしい、ピアノのおかげで幸せな人生だっだ」と、ピアノへの愛情と感謝を語る91歳のおじいさん・・・・・・
世界中に、実に様々な人々が、それぞれの場所で、一生懸命生きているんだなあと実感させられ、ついつい引き込まれて、最後まで見てしまいます。