このほど、ジョブサポート箱崎の就労移行支援事業を利用して就職し、定着支援も利用して働いておられたお二人が、その職場を退職して再チャレンジされることになりました。
当然ながら、理由と経過はそれぞれなのですが、共通するのが、ご自分にとって納得のいく働き方を求めて退職されたという事です。
決して職場がイヤだとか仕事が合わないとかではありません。
ご自分としては、採用された当初からすると、ずいぶんと仕事の幅も広がり、貢献していると思うし、これからもがんばって働きたいという意欲もあった。職場もそれは認めて、上司が「評価できないか」「昇給できないか」と、上の方に掛け合ってくれたけれど、評価する制度がなく、無理だったということで、その職場での将来をあきらめて、再チャレンジを選ばれたといういきさつなのです。
企業の障がい者雇用への取り組みは、ずいぶんと進んだと実感しています。
かつては、働く準備ができていても、求人が少なくて、就職先が見つかるまでに時間がかかっていましたが、今は求人も増えていますし、定着支援などでお付き合いが続いている企業などからの「もう一人雇用したいけれど」等の問い合わせも増えていて、就職先を探して実習、採用試験から採用までに、以前ほど時間を費やすことが減ってきました。
これからの課題は、就職した後の、働き続けるための定着支援だなあと考えてきたところに、今回のようなことが起こりました。
まさに、
今回のお二人のような、働きがいのある仕事と職場に出会って「がんばって働きたい」「職場に役に立つ従業員になってもっと稼ぎたい」と考える障がいのある従業員を雇用し続けて、スキルアップをどう図るのか?どう評価して処遇していくのか?など、ハード面もソフト面も整えている職場が求められていくでしょう。
障がいのある従業員は、企業にとって「誰もが働きやすい職場環境や働き方を創り出す」ための、わかりやすい指標を示してくれる存在だと思うのです。
例えば、「車いすでは階段を使えないから」エレベーターやスロープが設置されていますが、きっと車いすを使わない多くの方も、エレベーターやスロープを、当たり前に使っておられるでしょう。
障がい者雇用を「良い職場づくりの一環」と捉えて、積極的に進めておられる企業も増えているものの、お二人の勤務先の様に、 現状は「とりあえず、雇用率をクリアせねば」にとどまっている企業も多いようです。
それどころか、
“障がい者雇用代行ビジネス”が増えている現象を見ると、障がい者雇用を「できれば回避したい面倒な事案」と捉えている人々や企業が、まだまだ多いという事なのでしょう。
「多様性などクソくらえ!」というトランプ現象は、アメリカだけではないのです。
お二人共に、数年企業で働いた経験を持っておられるし、退職を決断するまでには、様々な葛藤を経てのことだと思います。
ご自分が求める働く条件や職場環境も、しっかり持っておられるでしょうから、おそらく長い時間を費やさずに次の職場に飛び立っていかれる事だろうと予想しています。