先日、NHKの対談番組を聞いていて、思わずメモした言葉です。
「日本人って、失敗を恐れる。
でも、大事なのは、自分を表現すること(自分の感性を磨くこと)。
失敗は次に修正すればよいのだから。
日本の教育は、間違わないことを重視し過ぎる。
教育は元来、考えること、感じることを教育するべきだと思う」
「失敗しないことだけに縛られていたら、自分の可能性を狭めてしまう」「失敗したらやり直せばよいこと」「自分の感性を大事にしよう」「自由に自分の頭で考えて行動しよう」そして、日本人の失敗を恐れる行動パターンは、小さい頃からの教育が作っているのではないだろうか。1人1人が自分の感じたことを大切にして、自分自身で考え、独自の答えを創り出していくというよりも、どちらかと言えば、正解は一つで、正解を速く見つけられるように訓練するのが日本の教育の根幹になっている。こんな日本の教育を変えて行きたい。
という主張だと捉えました。
確かに、私たちは、失敗しないことに重きを置いて行動している傾向が強いようです。
この特徴の延長線上に、「みんなと同じに」や「迷惑をかけない」があり、コロナ対策のマスク着用がスムーズだったことにも繋がりますし、災害時の助け合いにも繋がるので、プラスに働くことも大いにあると思いますが、再チャレンジが認められにくく、失敗すると2度と立ち上がれないという空気があって窮屈です。
つい先ごろ「わきまえていらっしゃる」「わきまえない」なんて言葉が、日本中で話題に上りましたが、日本人の行動パターンとして象徴的な言葉だと思いました。
「場をわきまえている人」「立場をわきまえない人」などど使い、「その場の空気を壊さないように行動できる人」「周りから評価されている自分の立場が分からない人」というような意味で、「大勢に従え」「勝手なことはするな」といったニュアンスを感じます。
「出る杭は打たれる」なんて言葉もあります。
失敗した!しまった!と思った時、人はどんな行動をとるか?
- 見なかったことにする
- なかったことにする
- 隠す、ごまかす
- 逃げる
- すぐに公表して謝罪し、知恵を絞って(他者の力も借りて)被害や影響を最小限に食い止めることにエネルギーを注ぐ
- ヒヤリハットとして、経過や結果を確認して、2度と起こらないように生かす
⑤や⑥の行動が望ましいのは誰でもわかっていることですが、日本人の傾向として「私はこう考えて判断しました」と独自の考えを主張することはなかなか許されないので、⑤の行動が取りにくいのではないでしょうか。
「もう一度やり直せばいいんだから」「どうすればよかったのかなあ?」という反応だったら、素直にごめんなさいと言えるし、振り返って、次はどうしようかと考えることができると思うのです。
ところで、
福岡ジョブサポートのホームページの “はたらく大人に フィット県庁前” の説明で「失敗は宝です」と書いています。
「うまくいかない時こそ学べるチャンスです」
「仲間やスタッフと一緒にたくさん失敗して、たくさん学びあいましょう」
とも書いています。
他の事業所も、
「ここで、うまくできなくても、間違っても大丈夫」「ここは、失敗して学ぶための場所」「誰でも、失敗して学ぶのです」「ミスした時が学ぶチャンス」「だんだんうまくできるように慣れて行きましょう」など、言葉はいろいろですが、支援の基本は同じです。
特に障がいのある方は、いろんな「思うようにいかない」経験を重ねてこられた方が多いので、支援者と共にご自分の特性に向き合う、安心できる場を提供することがまず第一歩と考えています。
支援者は、どこに引っかかってうまくできないのか?何が足りなくて間違うのか?ミスの起こる頻度やどんな状況でミスが起こるのか?トラブルが起こらないのはどんな環境か?・・・等、ご本人といっしょに特性を共有し、対策をいっしょに考え試していきます。
長所を磨くのはもちろんですが、なりたい自分になるためには「失敗は宝」なのです。