若い人が入職してきたので「ジョブコーチハンドブック」を、「就労支援の基本の基」だから、まずは読んで学ぶようにと伝えて渡しました。
久しぶりに手にしたこの本の表紙を見て、20数年前が蘇りました。
「障がい者が働く」ことを直接支援する職務に異動を命じられたのは30年ほど前のことでした。
畑違いの世界で、いったい何をどうしたらよいのか? 全くわからないままに、現場に飛び込みました。
働きたい障がいのある人が働き稼ぐ場であり、一般就労のための訓練をする場とも位置付けられた授産施設という施設でしたが、工賃は低く、一般就労は夢のまた夢で、1年に1人も就職する人はいませんでした。
なぜだ? どうしたらよいのか? 就職なんてどだい無理なことなのか? と思い悩みました。
でも、こんな理不尽なことがずっと続いていいはずはない、何かできることはあるのではないか?・・・と、遠くにはぼんやりと光が見えるのですが、足元も数メートル先も暗くて見えません。
手ががりになりそうな本を読み漁り、いろんな研修会に参加してみたりと、暗中模索の中で、「ジョブコーチ」というキーワードに遭遇しました。
- 「特別に配慮された環境(施設)」ではなく「実際の職場(企業)」で働くことを支援する
- 「特別に用意された仕事(できる仕事)」ではなく「職場の仕事(誰かがしなくてはならない仕事)」をして、正当な対価を得る
- 雇用された障がい者と、一緒に働く職場のスタッフが主人公で、「ジョブコーチは黒子」
- 「ジョブコーチ」ではなく、その仕事のプロである「職場のスタッフ」から教えてもらう
- 職場のスタッフが、障がい者を自然にサポートできるように調整するのがジョブコーチ
- 就職して終わりではなく、必要な支援は継続する
- 障がい者だけでなく、雇用する企業も支援の対象
- 「アセスメント」「わかり易く教える技術」「ナチュラルサポート」「フェイディング」
・・・等
「ジョブコーチ」の理念と手法に触れた時、「これこれ!これだ!」と目の前がパアーッと明るくなったのを思い出します。
アメリカ生まれの「ジョブコーチ」という支援の理念と手法を、日本に取り入れ普及させてきたのは、NPO法人ジョブコーチネットワークとその代表の小川浩氏ら、この「ジョブコーチハンドブック」の執筆者の方々です。
奥付にずらりと並んだお名前を見ると、生き生きとした皆さんのお顔と行動力が思い浮び、懐かしくなりました。